このページでは「暖房デグリーデー」について、意味や計算方法まで徹底的に解説していきます!
「暖房デグリーデーって何だっけ?」「授業で習ったけど忘れちゃった」という方は、ぜひこれを読んで復習して下さい!
Excelを使用して暖房デグリーデーを計算する方法も解説しています!
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暖房デグリーデーとは、その地域の寒さを示す指標
結論から書くと、「暖房デグリーデー」とは、計算する対象の地域(主に市町村単位)の寒さを表す指標です。
数値が大きいほど暖房が必要となる期間が長く、数値が小さいほど暖房が必要ないということを表します。
この暖房デグリーデーを使用することで、冬季の暖房エネルギー消費量や暖房費を求めることができます。
暖房デグリーデーの単位は[℃・日]や[℃・day]などと表されます。
単位のイメージが付きにくいので、1つの都市の暖房デグリーデーを計算して何かを検討・判断するのではなく、都市ごとの相対的な比較に用いられます。
各都市の暖房デグリーデーを見てみると、札幌市で3300[℃・日]、仙台市で2200[℃・日]、東京都で1500[℃・日]となっています。
この数値からもいかに北海道では暖房が必要となる期間が長いのかということが分かります。
暖房デグリーデーの計算方法
いよいよ暖房デグリーデーの計算方法について解説していきます。
簡潔に表すと暖房デグリーデーは、暖房が必要となる1シーズン(寒冷地の場合は11月から4月など)の間において、暖房機器の設定温度と実際の外気温の気温差を期間分だけ合計した値になります。
ここで、一般的に外気温は日平均外気温を使用します。
また、暖房の設定温度とは、「外気温がこの温度を下回った場合に暖房をONにする」という温度のことです。
式に表すと下のようになります。
θinの暖房設計室温が、先ほど紹介した暖房機器の設定温度になります。
例えば、、、
簡単に計算の方法をイメージしてもらうために、実際に暖房デグリーデーを計算してみます。
計算を簡単にするために、ある架空の都市の5日間の暖房デグリーデーを計算してみましょう。
ここでは暖房設計室温は22℃とします。
日付 | 日平均外気温 |
1月1日 | 0.8℃ |
1月2日 | -4.0℃ |
1月3日 | -9.9℃ |
1月6日 | -10.4℃ |
1月7日 | -8.8℃ |
まずは、暖房設計室温22℃と日平均外気温の温度差をそれぞれ計算していきます。
(暖房設計室温22℃)ー(日平均外気温)を計算するだけです。
日平均外気温が低い日であるほど、暖房設計室温との差が大きくなっています。
日付 | 日平均外気温 | 暖房設計室温(22℃)との差 |
1月1日 | 0.8℃ | 22℃ – 0.8℃ = 21.2℃ |
1月2日 | -4.0℃ | 22℃ – (-4.0℃) = 26.0℃ |
1月3日 | -9.9℃ | 22℃ – (-9.9℃) = 31.9℃ |
1月6日 | -10.4℃ | 22℃ – (-10.4℃) = 32.4℃ |
1月7日 | -8.8℃ | 22℃ – (-8.8℃) = 30.8℃ |
最後に先ほど計算した「日平均外気温と暖房設計室温との差」を期間分全て足し合わせることで暖房デグリーデーが求まります。
なお、日平均外気温が暖房設計室温よりも高い場合は、「暖房を使用しない」ということなので、暖房デグリーデーの計算には含めません。
つまり、「日平均外気温と暖房設計室温との差」がプラスのものの合計が暖房デグリーデーになります。
さきほどの表で「暖房設計室温22℃との差」を5日分合計すると、142.3[℃・日]となります。
これがこの架空の都市における1月1日から1月5日の間の暖房デグリーデーになります。(こんな短い期間で計算することはありませんが、、、)
暖房デグリーデーについて記載のある書籍はあまり多くはありませんが、少なくともこちらの書籍には記載があります。
グラフも掲載されているので興味のある方はご購入を検討してみて下さい。
Excelを使って暖房デグリーデーを計算してみる
先ほど簡単な暖房デグリーデーの例を紹介しました。
次は、実際の気温データを用いて札幌市と東京都(羽田)の暖房デグリーデーを求めてみましょう。
今回は期間を「11月1日から4月30日」として暖房デグリーデーを求めます。
気象庁のホームページから気温のデータを入手する
まずは各都市の日平均外気温のデータを気象庁のホームページからダウンロードします。
「気象庁 過去の気象データ検索」というページです。
URL:https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
このページでは、地点や期間を自由に選択してCSV形式のデータをダウンロードすることができます。
では、札幌市の日平均外気温のデータをダウンロードしていきます。
まず地図上からデータを入手したい地点を選択して下さい。
複数地点を選択することができるので、今回は札幌市と羽田を選択しています。
地点の選択が完了したら、次にダウンロードするデータの項目を選択します。
データの種類は「日別値」、項目は「気温」の「日平均気温」を選択します。
項目の選択が完了したら次にダウンロードするデータの期間を選択します。
暖房デグリーデーの計算では、暖房を使用する期間のデータを利用するので夏場のデータは必要ありません。
札幌と東京では暖房の使用を開始するタイミングはおそらく異なりますが、相対的な比較を行うために必ず同期間を選択するようにしましょう。
それではCSVをダウンロードしましょう。
念のため地点や項目、期間が正しく選択できているか確認しておきましょう。
ダウンロードしたCSVファイルを開くと、このような形式になっています。
暖房設計室温との差を求め、それらの合計を計算する
先ほどダウンロードしたCSVを使用して計算していきますが、C・D列、F・G列の品質情報及び均質番号は今回使用しないので列を削除しておくと作業しやすいです。
下の画像のように、暖房設計室温22℃との差を11月から4月までの全期間でそれぞれ計算します。
そして、都市ごとに11月から4月までの「日平均外気温と暖房設計室温との差」の合計を求めます。
その結果、札幌市の暖房デグリーデーは3585℃・日、東京羽田の暖房デグリーデーは2106.3℃・日と求められました。
ここまでお疲れ様でした。。
画像等を使用してできるだけ分かりやすい説明を心がけましたが、不明点ありましたら申し訳ありません。。
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暖房デグリーデー計算時の注意点
暖房デグリーデーの計算では「日平均外気温」を使用しますが、この「日平均外気温」は当然ですが1日の温度の平均を示しています。
そのため、暖房を使用することが多いであろう昼間はもう少し気温が高くなることが考えられます。
今回暖房デグリーデーを計算する期間は4月から11月でしたが、この期間外においても日平均外気温が暖房設計室温22℃を下回る日が存在しています。
しかし、さすがに6月や10月は暖房は使用しないと考えられるので、暖房デグリーデー計算時には今回のように「暖房を使用すると考えられる期間」をあらかじめ設定する必要があるのです。
補足:冷房デグリーデーもある
今回は暖房デグリーデーの計算を行いましたが、「冷房デグリーデー」も存在しています。(あまり使われることはないようです)
暖房デグリーデーと同様に、冷房を使用すると考えられる期間を選択し、冷房設定室温を上回る日平均外気温との差を合計することで求められます。
計算の方法は暖房デグリーデーと同じですね。
まとめ
この記事では、暖房デグリーデーの意味と計算方法について解説しました!
このサイトでは他にもQGISというソフトの使い方や、建築学生の就活について解説しています!
こちらも併せてぜひ見ていただけると嬉しいです!
暖房デグリーデーの数値は建物の暖房によるエネルギー消費量や暖房費の計算に用いられます。
また、地域ごとの暖房デグリーデーを比較することによって、各地域の「寒さ」を相対的に比較することができます。
意味は少しわかりにくいですが、計算方法自体は簡単なのでぜひ皆さんも計算してみて下さい!
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