【超基本ガイド】 住宅の断熱

木造住宅の断熱材 建築環境

住宅を購入する多くの人が迷うのが「住宅の断熱」だと思います。

ハウスメーカー「ウチは高気密高断熱な住宅に強いですよ!」
奥さん「そうなのね!なんとなく良さそうね!」
(良く考えたら断熱よくわからンゴ)
(値段も高いから最低限でええか)

ただ家が暖かくなるのが断熱ではありません。

このページでは断熱の仕組みと、断熱がなぜ重要なのか、おすすめの断熱などについて解説していくので必要なとこだけさっらと読んでくれたら嬉しいです!

少し計算は必要ですが、建物の熱の移動について詳しくなると、住宅の広さ・断熱性能などから冬季にかかる暖房費を計算することができるのです!
その計算に使う「暖房デグリーデー」という指標について↓こちらで解説していますので、ぜひ読んでください!

断熱って結局何なのよ

突然ですがあなたは今、寒い冬にアツアツのコーヒーを手に持っています。
当たり前ですが、3分も経てばコーヒーは冷めてしまいますよね?
これはコーヒーの熱が空気に逃げていくことでコーヒーの温度が下がります。
では、コーヒーを水筒に入れてあげましょう。
水筒は象印でもなんでもかまいませんが、水筒に入れたコーヒーのアツアツは何時間も続いてくれます。

コーヒーと同じことが住宅にも言えます。
暖かい家の中の熱が寒い室外に逃げてしまいますよね!
そこで家の壁や天井など至る所に断熱をするのです。簡単に言えば熱の出口を塞ぐイメージですね!

断熱のイメージ
こんな感じ

住宅にふわふわのダウンみたいなものを着せてあげることで、熱が外に逃げるのを防いでいるというわけです。

では、どこにふわふわのダウンを着せてあげればいいのでしょうか?
室内の熱が逃げていく場所を考えると、壁・床・窓・ドア・屋根(天井)などが挙げられます。

部位別の熱が逃げる割合

この画像からも分かるとおり、壁だけでなく特に窓などの開口部からかなりの熱が逃げてるんですよ。。
まあとりあえずそれぞれの部位における断熱について少し詳しく説明していきますね!

壁・床・天井の断熱

まず最初は壁・床・天井の断熱についてです。
住宅の表面積の大部分を占めているこれらを断熱することは当然大事ですよね!

木造住宅の断熱材
断熱ってこんな感じ

繊維系断熱材・発砲系断熱材

壁・床・天井の断熱には、「ロックウール」「グラスウール」などの繊維系断熱材「ポリスチレンファーム」「ウレタンフォーム」などの発泡系断熱材などが主に使われます。

繊維系断熱材
繊維系断熱材
発泡系断熱材
発泡系断熱材

一般的にはこれらの断熱材を壁・床・天上に入れて、部屋の暖かさが逃げないようにします。
他にも「外張り断熱(外断熱)」という断熱の方法もありますが、ここでは省略します。

繊維系断熱材を選ぶメリット

安価で性能が良く、コスパがいいのが「ロックウール」「グラスウール」などの繊維系断熱材です。

これらは、広く普及しているためお値段の割に断熱性が高いです。なんとさらに防音効果も期待できちゃいます。「価格を抑えつつ、断熱にもこだわりたい」というワガママなあなたにはこちらがオススメです!

写真のようなふわふわを袋に詰めたものを壁に入れ込みます。

繊維系断熱材
繊維系断熱材を選ぶデメリット

万能優等生タイプの繊維系断熱材にも良くないところがあるんですね。。それは、湿気対策が必要ということです。 
さらっと書きましたがかなり重要です。
とくに冬の時期、室内には外より多くの水分があります(目にはみえないよ)。これらが壁の中にある断熱材に侵入してしまうことで、壁の中で結露が発生し、断熱材の効果が落ちてしまったり、最悪の場合には柱などの構造体が腐ってダメになってしまうのです。。

結露している窓ガラス
窓の結露はこんな感じよね

結露についてもまた機会があればまとめてみますね。

室内の水分が断熱材に侵入するのを防ぐ救世主が、「防湿気密シート」です!
「防湿シート」「気密シート」とも呼ばれたりします。

防湿気密シート
防湿気密シート 画像引用:旭ファイバーグラス https://www.afgc.co.jp/index.html

大事な大事な防湿気密シートですが、大手だと当然設計施工してくれますが、小さな工務店(特に東北より暖かい地域)では、「断熱材が入っているのに防湿気密シートが無い!」なんてこともあるそうです。

ハウスメーカーの営業が金額を提示する

これはヤバいので、図面を確認してみましょう!図面上でわからない場合は担当の人に、「防湿気密シートってここに入ってますよね?」と強気に確認してみましょう!

窓の断熱

さあ、来ました。窓とドアです。「断熱」と聞くと、壁をイメージしがちですが、室内の熱の大きな逃げ道は窓なんです。。窓を断熱性の高いものにするだけで、快適性がかなり向上します。

窓の断熱性が高くなると、窓に発生する結露も防げます!
窓の下のカビともおさらばです。

ここまで新築を前提に説明してきましたが、実は既存住宅でも「窓のみ」断熱改修を行うことができます!
窓を交換すれば、今住んでいる家の快適性がグンと上がります。

窓から室内に光が差し込む

アルミサッシ単板ガラス

これは1番最悪です。こんな窓を平然と使っているのは日本の本州か熱帯地域だけです。

「サッシ」というのは、窓のガラス以外の部分です。よく汚くなるところですね。ここがアルミでできているのがアルミサッシです。金属は熱を通しやすいので、冬の外の冷たさがダイレクトに伝わってきます!

結露したアルミサッシ

単板ガラスは、窓のガラスが1枚ということです。当然、ガラスが2枚以上あった方が熱が逃げにくいですよね?布団と同じです。そのガラスが1枚しかないのでそりゃ寒いですよぉ。

窓の断熱性能が低いと結露が発生してしまいますね

結露については原因と対策について、↓こちらで詳しく解説しているのでぜひ読んでみて下さい!

樹脂サッシ

樹脂サッシ

アルミサッシの「熱が伝わりやすい」という弱点を克服したのが、樹脂サッシです。名前の通り、サッシがプラスチックでできています。見た目は少し頼らないですが、断熱性は抜群です。
最近では白以外の色も選べることが多いです。

ただし、値段はやはりアルミサッシに比べると高いので、お財布との相談は必要です。

アルミサッシと樹脂サッシのハイブリッドである、アルミ樹脂複合サッシというものもあります。こちらもそこそこ断熱性は良いので、こちらを検討してみてもいいかも知れません。

ペアガラス・トリプルガラス

ペアガラス

単板ガラスの熱を伝えやすいという弱点を克服したのが、ペアガラストリプルガラスです。
簡単に説明すると、「窓ガラスが2枚以上あるよ」ということです。
ガラスとガラスの間には空気やガスの層があるので、そりゃ暖かいです。

値段は張りますが、やはり2枚以上ガラスは無いとキツイです。。

YKKAPのAPW330https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/window/apw330)やLIXILのEWシリーズhttps://www.lixil.co.jp/lineup/window/ew/)などはコスパ抜群です!

Low-Eガラス

「ろーいーがらす」と読みます。簡単に説明すると、先ほどのペアガラス・トリプルガラスに特殊な加工をして、さらに熱の出入りを抑えたものです。

冬に室内から熱が逃げにくくする寒冷地向けのものと、夏に室外の暑い熱が入って来にくくする温暖地向けのものがあります。住宅を建てる地域や好みにあったLow-Eを選びましょう!

もちろん値段はお高いのでこれまたお財布と相談です。。

本当に断熱にお金をかけるべきなの?

結論

本当に断熱にお金をかけるべきです!!

断熱性能が悪い住宅では、単に「寒くて不快」というだけではなく、様々な問題が発生します。

冷暖房費がかさむ

これはそりゃそうという感じです。
夏は外の暑さ、冬は外の寒さがダイレクトに伝わります。
暑い寒いは嫌なので、クーラーや暖房を付けますよね?断熱性能が高い住宅よりもがんばって冷暖房しなければいけないので、消費電力は多くなってしまいます。

住宅を建てる際に、断熱性能に投資しておいた方が、後々安く快適に住める可能性が高いです。

電卓と通帳と貯金箱

健康に悪い

冷暖房費がかさむなら、暑さ寒さを我慢しよう!、、とはいきませんね。
暑さを我慢すると熱中症に、寒さを我慢すると風邪を引く可能性が高くなります。

病院に行ったり、薬を買うお金を考えると、住宅を建てる際に断熱性能に投資しませんか?

電卓と医療費の請求書

実はこれ、ちゃんとした研究結果でも示されているんです。

慶應大学の伊加賀俊治先生が2011年に発表した論文です。

「健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価」

健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価
J-STAGE

↑少し専門的な内容ですが、興味のある方はさらっと読んでみてください!

簡単に説明すると、「住宅の断熱性能や気密性能を整えると、病気になりにくいので医療費が節約でき、年間で1人あたり27000円得するよ」ということです。あくまで理論上ではありますが、すごい数字ですよね。。

断熱性能を高くすると「ヒートショック」の可能性を防ぐことができます。
↓こちらの記事で「ヒートショック」の原因と対策について詳しく解説しているので是非読んでみてください!

まとめ

今回は住宅を建てる際に気をつけいたい断熱の基本について説明しました。
断熱はまだまだ奥が深く、地域や予算によって適切な断熱方法・断熱材を選ぶ必要があるので、基本的な知識を持った上で、ハウスメーカーの担当者などに相談してみましょう!

個人的なコスパ最強おすすめは、繊維系断熱材とペアガラスの樹脂サッシ窓です。

もし参考になったら嬉しいです!

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