扉や窓を閉め切った部屋で長時間生活していたら、なんだか息苦しくなって頭が痛くなってきてしまった。。
こんな経験ありませんか?
その原因は、室内の空気中の酸素濃度が減少し、二酸化炭素濃度が上昇したからなんです!
人間は呼吸をします。
酸素を吸って、二酸化炭素を排出します。
ということはだんだん部屋の中の酸素が薄くなってしまいますよね。。
家の中の酸素や二酸化炭素の濃度なんて普段気にしないと思いますが、実は濃度を意識するだけで快適で健康な暮らしを送ることができます!
では解説していきましょう!
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酸素や二酸化炭素の濃度って何?
皆さんの周りにたくさんある空気は「混合物」です。
空気は主に、「窒素」「酸素」「アルゴン」「二酸化炭素」で構成されています。
細かい構成比は下のグラフのようになっています。
「濃度」とは混合気体中のその気体の占める割合のことです。
上のグラフでは空気中の酸素濃度は約21%、二酸化炭素濃度は約0.03%となるわけです。
空気中の二酸化炭素は「%」で表すと数が小さくなりすぎて分かりにくいので、「ppm」(パーツ・パー・ミリオン、百万分率)で表します。
1ppmは0.0001%であり、1%は10000ppmになりますね。
つまり、空気中の二酸化炭素濃度は計算上は300ppmとなり、とっても小さいスケールのお話です。
人間の呼吸
当たり前の話ですが、人間をはじめとする動物は呼吸をします。
動物は、空気中の酸素を取り込んで二酸化炭素を排出します。
つまり、空気中の酸素濃度を低下させ、二酸化炭素濃度を上昇させる役割をしています。
人間が吐いた息に含まれる成分の構成比は、窒素は変化せず80%、酸素が16%、二酸化炭素が4%と言われています。
吸い込んだ空気に含まれる全ての酸素を二酸化炭素に変換させているわけでは無いんですね。
植物の光合成
植物も呼吸をしていますが、それよりも光合成という大きなはたらきがあります。
光合成は、空気中の二酸化炭素を酸素に変えるはたらきをしています。
つまり呼吸の反対で、空気中の二酸化炭素濃度を低下させ、酸素濃度を上昇させる役割をしています。
ビルが建ち並ぶ大都会は息苦しく、木などの植物がたくさんある森に行くとスッキリとする要因でもあります。
外の空気中の酸素濃度・二酸化炭素濃度
先ほども書きましたが、空気中の酸素濃度は約21%、二酸化炭素濃度は300〜400ppmと言われています。
夏と冬では葉っぱの数は変化するので、光合成のはたらきも変化してしまいます。
一般的に二酸化炭素濃度は夏に低くなり、冬は高くなりますが、夏と冬では5〜10ppmの差があります。
全く気にするほどではありませんね。
昔と比べると二酸化炭素濃度が上昇している?!
季節によって若干の変動がある二酸化炭素濃度ですが、長期的に見ると上昇しています。これは自動車や発電などの様々な人間の活動によって引き起こされていると言われています。
昔は二酸化炭素はおよそ350ppm程度でしたが、現在の都市部では450ppmを超える値が標準になってきています。
さらに現在のスピードで二酸化炭素が増え続けると、45年以内に二酸化炭素濃度は500ppmを超えるとの予想もあります。
室内の酸素濃度・二酸化炭素濃度
先ほど、屋外の二酸化炭素濃度は350~400ppmと説明しましたが、では室内の二酸化炭素濃度はどれくらいなのでしょうか?
基本的に室内には人間や犬などの動物が活動しているため、呼吸により二酸化炭素が発生しています。
そのため屋外の空気よりも、室内空気の方が多くの二酸化炭素を含んでいます。
一般的な室内では、1000ppm以内の二酸化炭素濃度であれば快適と感じ、健康上の問題の無いと考えられています。
適切な換気を行えば、二酸化炭素濃度についての心配はほとんどいりません!
建築基準法
室内空気の環境基準は「建築基準法」や「ビル衛生管理法」によって基準値が定められています。
建築基準法では以下の表のような室内環境基準が定められています。
快適性の観点から見た室内環境基準は、二酸化炭素濃度以外にもいくつかあります。
項目 | 基準 |
(1)浮遊粉塵の量 | 0.15mg/m3以下 |
(2)一酸化炭素濃度 | 10ppm |
(3)二酸化炭素濃度 | 1000ppm |
(4)温度 | 17~28℃ |
(5)相対湿度 | 40~70% |
(6)気流 | 0.5m/s以下 |
(7)ホルムアルデヒド | 0.08ppm以下 |
一般的な住宅では、二酸化炭素濃度は1000ppm以下にする必要があります。
しかし、この「1000」という数値はあくまで目安と考えていただいて大丈夫です。
なぜなら二酸化炭素濃度は部屋にいる人の数や行動によって大きく変動するからです。
1人で寝ている場合と、5人で同じ部屋でヨガをしている場合とでは大きく濃度が異なってきます。
「普通の生活を室内で送っているときに、常に1000ppmくらいを超えることは無いようにしようね!」程度に捉えてください!
二酸化炭素濃度が高いとどうなる?
では、実際に二酸化炭素によって不快感が発生し、健康被害が生まれるのはどのぐらいの濃度なのでしょうか?
二酸化炭素濃度(ppm) | 濃度変換の影響 |
1000 | 一般的に許容できる濃度 |
5000 | かなり空気感共は悪い、だるさやめまいを生じる可能性あり |
20000 | 呼吸が深くなる、呼吸量が30%増加 |
30000 | 呼吸量が2倍になり、作業が著しく劣化 |
40000 | 呼吸時間が長くなると危険、障害が生じる可能性が高い |
80000 | 10分呼吸しただけで呼吸困難や強度の頭痛が生じる |
通常の室内の濃度を1000ppm以内とすると、人間が不快に感じるのは5000ppm以上です。
また、二酸化炭素濃度が20000ppmを超えてくると、眠気が誘われたり、息苦しさを感じるようになります。
人間の吐いた息に含まれる二酸化炭素の濃度である40000ppm程度になると、重大な健康被害の可能性が出てきます。
集中力が必要な勉強や仕事で使う空間の二酸化炭素濃度は1000ppm以内に抑えると効果的です!
二酸化炭素濃度の高い空間に短時間いたからといってすぐに健康被害が出ることはありませんが、濃度の高い空間で長期的に生活している場合は、判断力の低下・めまい・吐き気・頭痛の他、認知能力に影響が出る可能性があります。
通常の生活では二酸化炭素濃度が極端に上昇することは無いと考えられますが、気密性がかなり高い空間で換気が不十分な場合は注意が必要です。
1000ppmを超える二酸化炭素濃度では、部屋にいる人にとって集中力や疲労感など様々な悪影響が出てきてしまいます。
住宅だけでなくオフィス空間においても1000ppmを超えないようにすることが理想です。
室内の二酸化炭素濃度を適切に保つには
換気をする
不快感や健康被害が発生しないようにするためには、適切な換気を行うことが大切です。
呼吸などの人間の活動によって増加してしまった二酸化炭素を室外に排出し、室外の新鮮な空気を室内に取り込むことで、快適な室内環境が実現できます。
空気を入れ換えるためには「窓を開ける」「換気扇を回す」などの方法がありますが、部屋の大きさや風の有無によっては十分に換気できていない可能性もあります。
部屋の大きさや用途によって必要な換気量が異なってくるので、計算してみても面白いですね!
換気量の計算については↓こちらで解説しています。
濃度計を使うと換気のタイミングが分かる
常に窓を開けて換気扇を全力で回して換気を行うと、換気量は十分に確保することができます。
しかし、天候の悪い日や冬季には雨や寒い空気が入ってくるので、できればそんなことしたくないですよね?!
世の中は便利で、二酸化炭素濃度を計測する濃度計がたくさん販売されています。
飲食店やオフィスの受付などで見たことある人もいるかもしれませんね!
空気中の二酸化炭素濃度を計測し、「○○ppm」のように液晶等に表示してくれるので、これを参考にして換気を行うことができます。
無駄なく換気を効率的に行うことができるだけでなく、室内空気環境について意識するきっかけにもなるのでぜひ使ってみて欲しいです。
Amazon等でも多くの種類が販売されており、値段もピンキリです。
実際に全てを購入した訳ではないので詳細は分かりませんが、濃度を計測する精度が高くない商品も溢れているので注意が必要です。
適当な数値を表示している濃度計や、アルコール濃度を計測しているだけの濃度計があるという上方もあるので、レビューや値段などを確認してみることをお勧めします。
また、Amazonでは二酸化炭素濃度を計測するセンサー本体も販売されているので、arduinoで自作してみても面白いですよ!
「濃度が一定値を超えると換気扇のスイッチを押す」などのシステムを構築することも可能です!
まとめ
この記事では、空気中の二酸化炭素濃度について法律的な基準や、健康被害、濃度を下げる方法について解説しました!
部屋にいる人の数や行動によって大きく変動する二酸化炭素濃度ですが、長時間1000ppmを超えるような環境でなければ大きな心配は全くありません。
不快と感じる二酸化炭素濃度には個人差があるので適度な換気は忘れずに行いましょう!
参考文献
この記事では以下のページを参考にしています。
皆さんも是非見てみて下さい!
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