皆さん、冬に暖房を付けているのはどこの部屋ですか?
リビング、寝室、子ども部屋などは多くの人がエアコンやストーブなどで暖かい空間にしていると思います。
リビングは家族が集まって団らんする場所ですし、寝室は寝る場所、子ども部屋は子どもが勉強したり遊ぶ場所なので、そりゃポカポカにしてあげたいですよね!
では例えば、廊下、風呂(脱衣所)、トイレ、玄関は暖房していますか??
多くのお家では寒いのが当たり前ではないですか?!
「寒い寒い」と言いながら廊下を歩いてトイレに行き、「早くお湯を被りたい」と思いながらお風呂に入っていますよね。。
これ、実はただ不快なだけではなく割と命の危険があるんです!!
ヒートショックとは
簡単に説明すると、「ヒートショック」とは室内の温度差が大きすぎることで、急激に血圧が上下してしまい、脳内出血・大動脈解離・心筋梗塞・脳梗塞などの重大な病気が起こってしまうことです。
一般的に10℃以上の温度差がある場所は危険と考えられています。
リビングが25℃だとしたら、トイレや風呂場が15℃以下だと危険ですね。。
また、熱いお湯に浸かる場合も温度差がかなり大きくなるので注意が必要です!
例えば、「暖かいリビングから、寒い廊下を歩いて寒いトイレに行く」「寒い脱衣所で服を脱いで寒い風呂場に行き、熱いお湯に浸かる」などの日常の行動は、よくよく考えると温度変化がかなり大きいですよね?!
知らぬ間に心臓に負荷がかかってしまい、血圧が急激に変化することで大きな病気を引き起こしてしまいます。
「ヒートショック」という言葉自体はあまりなじみのない言葉かもしれませんが、実は案外身近な恐怖なんです!
ヒートショックによる死亡
少し怖い話ですが、ヒートショックが原因で亡くなる方は意外と多いんです。。。
少し古いデータですが、平成27年に交通事故で亡くなってしまった方の人数は4117人ですが、ヒートショックが原因で亡くなってしまった方はなんと17000人と推定されています。
つまり、「交通事故と比べると、ヒートショックが原因で亡くなる方が4倍多い」と言うことです。
とんでもないですね。。
平成27年 | |
交通事故死亡者数 | 4117人 |
ヒートショック死亡者数 | 17000人 |
この17000人という数字は、入浴中に急死された方をカウントしています。
そのため、廊下やトイレなどでヒートショックが発生してしまい、亡くなってしまった方を含めるとより多くの人が温度差が原因で亡くなってしまっていると考えられます。
ヒートショックの発生率は冬の方が高い
ヒートショックは温度差が大きいことが原因で発生するので、空間の温度差が大きくなりやすい季節に発生件数が多くなります。
つまり、夏はヒートショックの件数が少なく、冬にかけて件数が多くなります。
上のグラフは、令和元年の東京都における入浴中の死亡者の月別推移です。
5月~10月は100件を切っている一方で、11月~4月の寒い時期は死亡件数が多くなっています。
こわいですね。。
温度差がヒートショックの原因であることがよく分かるグラフですね。
ヒートショックは特に冬に注意が必要な現象です。
ヒートショックが起きる原因
寒くなる冬に発生件数が増加するヒートショックですが、原因は「温度差」にあります。急激な温度差に伴って、血圧が変化することで心臓に大きな負荷がかかってしまいます。
10℃の温度差があると、ヒートショックの危険性が大きくなります。
つまり室内温度が均一でない家(空間ごとの温度にムラがある)だと、ヒートショックが発生する可能性が高く危険だと言えます。
暖房しているリビングと、暖房していない廊下・脱衣所・トイレ・浴室などは温度差が大きくなりやすいので、注意が必要です。
持病がある方はより注意が必要
冬場は特に注意が必要なヒートショックですが、中でも高齢者や持病がある方・飲酒後などはヒートショック発生の可能性がより高くなるので、更なる注意が必要になります。
高血圧・糖尿病などの動脈硬化の基盤がある方、肥満気味の方は影響を受けやすいため、入浴時は特に対策が必要になってきます。
まとめると、下記の特徴がある方がヒートショックの危険性が高いので、家族の方が様子を見るなどのケアがあると安心です。
- 高齢者の方
- 高血圧や糖尿病など持病がある
- 肥満の方
- 浴室に暖房設備が無い
- 熱いお風呂が好きな方
ヒートショックにならないための対策
では、ヒートショックのリスクを少しでも下げるためにはどうしたらいいのでしょうか。
自分だけでなく、家族の方でヒートショック発生のリスクが考えられる方がいる場合は、早急に対策することをおすすめします!
断熱性能を高める
ヒートショックは室内の温度差が大きい場合に発生の可能性が高くなります。
つまり、リスクを減らすためには家の中の温度ムラをなくすことが最優先です。
室内に温度差ができる原因の1つが、住宅の断熱性能の低さです。
断熱性能が低いことで、暖房をしていない廊下・脱衣所・トイレ・浴室などの温度が一気に低くなります。
「高断熱高気密」と言われるような住宅では、暖房をしていない空間でもある程度の室温を保つことができます。
また、断熱性能が高い場合は暖房の効率が高いので、家の中のドアを開け放つ生活を送ることができます。これにより、室内の温度差が無くなり、均一な室内環境をつくることができます。
断熱性能の高い住宅については、↓こちらでも詳しく解説しています!
暖房を設置する
ヒートショックが発生する場所の多くは暖房がされていません。
廊下・トイレ・脱衣所・浴室などは多くの家で暖房なんて付いていないのではないでしょうか。
断熱性能が低く、暖房が付いていない空間の室温は当然低くなります!
トイレや脱衣所などを使用する時間だけ暖房を付けることで、暖房空間と非暖房空間の温度差はかなり小さくなるので簡単にヒートショック対策を行えます。
廊下・トイレ・脱衣所・浴室はリビングなどに比べて使う時間が限られています。
そのため、持ち運びができ、短時間で簡単に暖かくなるような暖房が必要です。
コンセントがあれば使えるような「カーボンヒーター」「電気ストーブ」などと呼ばれるものは、トイレや脱衣所程度の大きさの空間であれば短時間で簡単に暖まります。
北海道などの寒冷地でも十分に暖かくなりますよ!
家に1台用意しておくだけで快適性・健康性が大幅アップします!
全館空調を採用する
もう一つの選択肢として、「全館空調」を採用することが挙げられます。
この方法は、既存の住宅に導入することはコスト的にも難しいので、今から住宅を建てる方向けになります。
「全館空調」とは、家中すべての空間を冷暖房する方法です。
贅沢なように聞こえますが、北海道などの寒冷地では普及している空調方式です。
家中すべての空間を冷暖房すると言っても、一つ一つの部屋にエアコンやストーブを設置する訳ではありません。
家の1つの場所で冷たい空気や温かい空気を一気に作り、それぞれの部屋にダクト経由で送ることで全ての空間を快適にすることができます。
まだまだ導入コストが高い場合が多く、暖房費も高くなってしまうことが多いですが、部屋の温度ムラが無くなるので快適性は完璧です。
余裕のある方は導入を検討してみて下さい!
まとめ
この記事では、ヒートショックの危険性と原因、その対策について解説しました!
ヒートショックは室内の温度ムラ・温度差によって発生してしまいます。
住宅の断熱性能を高めることや、ヒートショックが発生しやすい空間にも暖房を設置するなど、部屋の温度ムラを可能な限り無くすことが重要です。
また、全館空調を採用すればヒートショックのリスクはほぼゼロにすることができます。導入を検討してみて下さい!
参考文献
この記事では以下のページを参考にしています。
皆さんも是非見てみて下さい!
社会福祉法人恩賜財団済生会ー冬場に多発! 温度差で起こるヒートショック
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